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コトタマ


「蛍の光」2020/10

夜空にふんわりとはかなげに舞う螢は日本の夏の風物詩です。「螢の光窓の雪」と言えば昔懐かしい卒業式の歌でした。太陽や火の明り(光)は熱を伴いますが、ホタルの光には熱はありません。遠いホシ(星)もまた同じです。

 ホシ(星)はホ(火)シ(石)であり天上無数の光点を石と見、明々輝くこと火の如くなるが故に火石即ちホシと称えたのです。

 熱さを感じないホタルを初めて手にした古代人たちが、不思議そうに互いに顔を見合せている微笑ましい素朴な姿が目に浮かびます。 その漢字表記でも解りますように、ホは微の意味でもあり、ホノボノ、ホカホカなどは、微かな熱量の意味で今も日常的に使用している日本語です。

 ホノカ(仄か)といえば微かな存在であり、ホコロビ(綻び)は小さな裂け目のことです。ホカホカが微小な熱量であることは前述しましたが、そのホカが他(ホカ)、外(ホカ)の意味になるのはなぜでしょうか。

 螢の光が熱さを感じさせないように、微少な熱量(エネルギー)は自分に影響を与えません。自分に影響のない離れたものが外(ホカ)の存在であり、他(ホカ)の存在となります。そんなことはもっての他(ホカ)であるといえば、それは無関係を意味しますが、人間関係でいえば赤の他人となります。

 ボヤ(小火)は初めには微かな火ですが、放っておけば、やがて大きく燃え上がり大火事になります。ホメル(褒める、誉める)といえば結果的に使用されますが、ホ語の原則からすれば、より一層の実力発揮を期待するという意味になります。

 穀物のホ(穂)は人間が生きていく為には必要なものですが、更に大切なことは一本の穂は来年には数百倍の量になる種になるということです。その発展のエネルギーを内蔵する穂こそ、ホ語の意味をよく語っています。ホシガル(欲)は人間が生き育つ為の自然の働きで、それは物質文明の源泉になっています。

 

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